【4月10日 AFP】フィリピン軍は9日、南シナ海(South China Sea)の係争海域で、中国の艦艇がフィリピン人取材班を乗せた民間船を追跡したとの報道を受け、調査を行っていると発表した。

 フィリピンの民放テレビABS-CBNの取材班が8日、南沙諸島(スプラトリー諸島、Spratly Islands)のアユンギン礁(Second Thomas Shoal)に向かっていたところ、中国の海警局の艦船1隻と、海軍の高速攻撃艇2隻に追跡されたという。

 ABS-CBNによれば、取材班が乗っていた船に対し、海警局の艦船が身元を明かすよう要求。取材班の船が向きを変えて進もうとしたところ、この艦船による追跡を受けた。

 同艦は1時間後に減速して追跡をやめたため、取材班が安堵(あんど)したのもつかの間、今度は高速攻撃艇2隻が姿を現し、取材班の船を追い始めた。

 これについてテオドロ・ロクシン(Teodoro Locsin)外相は「憂慮」を表明。8日、米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官と電話会談を行った。

 米国務省の発表によれば、両氏は「ウィットサン礁(Whitsun Reef)をはじめとする、南シナ海における中国の『海上民兵』」の存在に懸念を示した。

 これに対し中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は9日、米国は「争いの種をまくのをやめる」べきであり、地域の問題は関係国同士に解決を任せるよう求めた。(c)AFP