【4月9日 AFP】(写真追加)エジプトの著名考古学者ザヒ・ハワス(Zahi Hawass)氏率いる発掘チームは8日、南部ルクソール(Luxor)近くで、同国発掘史上「最大規模」の古代都市遺構を発見したと発表した。「失われた黄金都市」と呼び、少年王ツタンカーメン(Tutankhamun)の墓以来の最も重要な発見の一つだとしている。

 発掘チームの発表によると、砂の中から見つかったこの古代都市は「3000年前のアメンホテプ3世(Amenhotep III)の治世のもので、ツタンカーメンやアイ(Ay)に継承された」とみられる。

 米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)のベッツィ・ブライアン(Betsy Bryan)教授(エジプト美術・考古学)は、「ツタンカーメンの墓に次ぐ重要な考古学的発見」だと述べた。

 遺構からは、指輪などの宝飾品、彩色陶器、スカラベの護符、アメンホテプ3世の印章入りの泥れんがなどが出土した。

 チームは、古代エジプトの墳墓群「王家の谷(Valley of the Kings)」のあるルクソール近郊で2020年9月、ラムセス3世(Ramses III)とアメンホテプ3世の葬祭殿に挟まれた地区の発掘を開始。数週間のうちに、泥れんがの遺構が出土した。「保存状態の良い大規模な都市遺構で、壁はほぼ完全に残り、各室内には日用品がたくさんあった」という。

 7か月に及ぶ発掘調査で、焼き窯や貯蔵用の陶器を備えた製パン店のある地区や、行政地区、居住地区などが見つかった。

 発掘チームは「数千年間にわたって手付かずの考古学上の地層が、古代の人々によって、つい昨日のことのように残されている」と指摘。ブライアン氏は、「王朝が最も豊かだった時代の古代エジプト人の生活を垣間見ることのできる貴重な」遺構だと語った。

 チームはまた、王家の谷で見つかったものと同様の「岩に掘られた階段」を抜けた先に墳墓群を発見したことを明かし、「宝物に満ちた手付かずの墳墓が出土すると期待している」と話している。(c)AFP