【4月8日 AFP】欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)欧州委員長と欧州理事会(European Council)のシャルル・ミシェル(Charles Michel)常任議長(EU大統領)が6日、訪問先のトルコでレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と会談した際、男性2人が着席した一方で、フォンデアライエン氏には椅子が用意されていなかった。これについて欧州委員会(European Commission)は7日、冷遇と非難した。

 首都アンカラでの会談の映像には、トルコ国旗と欧州旗の前に椅子が2脚しかなく、ミシェル・エルドアン両氏が座り、フォンデアライエン氏は立ったまま当惑する様子が捉えられていた。

 フォンデアライエン氏は結局、両氏から少し離れたソファに座ることになり、インターネット上では「ソファゲート事件」だとたちまち話題になった。

 欧州委のエリック・マメール(Eric Mamer)報道官は「委員長は明らかに驚いていた」と明かし、フォンデアライエン氏もミシェル氏と全く同等の扱いを受けるべきだったと指摘。

 さらに「(フォンデアライエン氏は)これらの問題を重要視しており、適切に対処されるべきだと考えている。今回そうでなかったのは明らかだ」と述べた。

 トルコは先月、女性に対する暴力の防止と撲滅を目的とした「イスタンブール条約(Istanbul Convention)」からの脱退を発表し、EUはこれに反発。トルコの人権状況が懸念される中で、EU・トルコが関係再構築を目指す矢先の出来事となった。

 マメール報道官は、この一件により、トルコにおける女性の人権をめぐるフォンデアライエン氏の問題意識が一層強まったと述べた。

 ただトルコ側に怒りが向けられる一方で、フォンデアライエン氏の椅子がないことにミシェル氏がなぜ何も言わなかったのかを疑問視する声も上がっている。(c)AFP/Max DELANY