【4月7日 東方新報】約3000年前の黄金の仮面などが発見された中国四川省(Sichuan)の三星堆遺跡で観光ブームが起きている。考古学関係者は、市民の間で古代への探求心が高まることを期待している。

 三星堆遺跡は四川省成都市(Chengdu)から北へ約40キロの広漢市(Guanghan)にあり、3000~5000年前の古蜀国の中心地とされる。1986年に青銅器の顔に金箔(きんぱく)の仮面をつけた「貼金銅人頭像」などが見つかり国際的なニュースとなった。そして今年3月20日、新たに顔の右半分の黄金仮面などが見つかったことが発表され、35年の時を経て再び注目を集めた。

 発表から1週間後には、現地にある三星堆博物館の来場者が通常の3倍の9000人を超え、ある日の入場券などの売り上げは51万元(約856万円)に達した。今月の清明節の連休期間(3~5日)、旅行会社はこぞって三星堆遺跡の観光ツアーを組み、空の便は北京-成都間の乗客数が最も多く、遺跡近くのホテルは予約で満室となった。三星堆博物館の朱亜蓉(Zhu Yarong)副館長は「予想を完全に上回る熱気だ」と驚く。

 中国では2016年、北京・故宮の文化財を修復するテレビドキュメンタリー番組「我在故宮修文物」が人気となり、故宮の文化財修復職員への応募が殺到した。2017年には四川省を流れる岷江の川底から伝説とされていた17世紀の財宝が見つかり、多くの注目を集めた。

 だが、職業としての考古学の人気は高くないのが実情だ。昨年6月の大学統一入学試験(通称・高考)で、両親の出稼ぎで農村部に残された「留守児童」といわれる子どもの一人、鐘芳蓉(Zhong Fangrong)さんが湖南省(Hunan)の文科系で4位という好成績を手にし、マスコミに大きく報じられた。そして彼女が進学先に北京大学(Peking University)考古学専攻を選ぶと、「最高学府の北京大に行くのに、なぜ人気の無い考古学を?」「お金も稼げないし、学問の世界でも高い地位に就けない」とインターネットで話題となった。鍾さん本人は「私は考古学が好き。それだけで十分。就職したら人並みの暮らしはできる」と意に介さなかったが、中国における考古学の位置づけを表している。

 三星堆遺跡の発掘作業はインターネットでライブ配信され、若い学生らが作業の中心を担っていることも話題を呼んでいる。中国メディアは「寒門(地位が低い)の考古学が飛躍するチャンスとなるか」と注目している。(c)東方新報/AFPBB News