【4月7日 AFP】イタリアの首都ローマで6日、同国のパスタメーカー協会が年に1度開催する「カルボナーラの日(CarbonaraDay)」のオンラインイベントが行われた。

 古典的なパスタ料理の一つ、カルボナーラを楽しんだイタリアの食通たちは外国人に向けて「伝統を裏切らずシンプルに」という簡潔なメッセージを発した。

「おいしいカルボナーラの秘訣(ひけつ)は(中略)何を入れるかよりも、何を入れないかにある」とイベントに参加したカルボナーラ専門家でフードジャーナリストのエレオノラ・コッツェーラ(Eleonora Cozzella)氏はAFPに語った。

 ローマがあるラツィオ(Lazio)州で作られる伝統的なカルボナーラの材料は、卵、豚ほほ肉(グアンチャーレ)、ペコリーノチーズ、こしょうだ。それ以上の具材を足すと、イタリア人の機嫌を損ねる恐れがある。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は今年、料理欄に「スモーキー・トマト・カルボナーラ」のレシピを掲載した。トマト入りで、豚ほほ肉とペコリーノチーズをベーコンとパルメザンチーズに置き換えたもので、イタリアで大きな波紋を呼んだ。

 イタリアの農業生産者団体「コルディレッティ(Coldiretti)」は、「イタリアの大衆的伝統から生まれた誉れ高い料理の不快な模造品」と呼び、「イタリア料理を最もゆがめたレシピの一つ」だと非難した。

 実際、カルボナーラの発祥は米国に負うところがある。第2次世界大戦(World War II)末期、貧しく食料が乏しかったイタリアに進駐してきた米兵が持ち込んだベーコンを使い、ローマで発展したものだからだ。

 伊パスタメーカー協会の広報を担当するマッテオ・デ・アンジェリス(Matteo de Angelis)氏によると、1950年代のカルボナーラのレシピにも、ニンニクやグリュイエールチーズなどの伝統から外れる食材が含まれている。

 コッツェーラ氏は、伝統から外れたカルボナーラに「決して憤慨しているわけではない」と前置きした上で、「オマージュと見なし得るものもあれば、侮辱のように見えるものもある」と語った。

「大事なのは、カルボナーラの精神を裏切る一線を越えないこと。伝統対革新ではなく、伝統対裏切りの問題だ」とコッツェーラ氏は締めくくった。(c)AFP