【4月6日 AFP】仏パリはごみだらけで、がらくたが川面を漂う「不潔で見苦しい街」なのか? それとも現代の都市問題に果敢に取り組む「光の都」なのか?

 パリは本や映画で宣伝されているロマンチックなイメージとはかけ離れた、受け入れ難いほど不潔な街だとする意見に、パリっ子の注目を集めようというハッシュタグが最近拡散している。

 住民らがツイッター(Twitter)でパリの悲惨な風景の写真を投稿しているハッシュタグ「#saccageparis(荒らされたパリ)」について、社会党のアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長率いるパリ市当局は「中傷キャンペーン」だと非難した。

 市当局は、「フランスの他のあらゆる街と同様、パリは不作法な行為と公共空間の規制に関する問題に直面している」とツイートし、市の清掃前の写真を投稿したユーザーらを非難。「パリ市は『#saccageparis』を使った中傷キャンペーンの標的となっている」と述べた。

 市当局によると、新型コロナウイルスの流行やそれに伴う外出制限のために、清掃担当職員の人員は約10%削減されている。

 多くのツイッターユーザーは、パリは見捨てられた「ごみだめの街」だと非難し、来年の大統領選への出馬を検討中とされるイダルゴ氏に矛先を向けた。

 イダルゴ氏と対立する市議会右派はこの機に乗じ、パリの浄化を議論するために臨時会を開催するよう求めた。

 昨年の市長選でイダルゴ氏に敗れたパリ7区区長のラシダ・ダチ(Rachida Dati)元法相は、「イダルゴ氏とその仲間が、パリの衰退に目を向ける時が来た」と述べた。

 極右政党「国民連合(RN)」党首のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏も、「私たちの美しい首都をイダルゴ・チームが劣化させたことは、フランス人の誰もが無関心ではいられない国家的トラウマだ」とツイートした。

 今回の騒動は、匿名のツイッターユーザーが「われわれは不潔で見苦しくなったパリをこれ以上受け入れるべきではない」と投稿したことから始まった。

 このユーザーは「#saccageparis」のハッシュタグを使い始めた時には「これほどの規模になるとは思わなかった」と書いている。さらに、「だが、それほど驚くことではない。現在の悲惨な状況には大きな反応があって当然。私たちの多くがSTOP!と言っている。このハッシュタグの背後には(中略)地元の普通の人々がいる」と述べた。(c)AFP