【4月5日 People’s Daily】3月4日、国際的なトップジャーナルの「ネイチャー(Nature)」誌の表紙に、之江実験室と浙江大学(Zhejiang University)が協力した、バイオニック深海ソフトロボットの最新研究のマリアナ海溝の自動駆動ソフトロボットが掲載された。同研究チームは率先してソフトロボットの水深1万メートルの深海での操作・自主遊動実験を実現した。

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 西太平洋に位置するマリアナ海溝は既知の海で最も深い場所で、高水圧かつ、低温で、完全な暗闇にあることから、「地球の第四極」と呼ばれている。深海潜水技術の絶え間ない発展につれ、人々は広漠として果てしない深海はひっそりと静まりかえった生き物のいない場所ではなかったことを発見した。マリアナ海溝の6000メートルから1万1000メートルの間の極高圧深海域でも、数百種類の種が生息している。ミノカサゴはまさにその典型である。ミノカサゴはゲル状の柔らかい体にこまごました骨格があり、100メガパスカル近い圧力に耐えられる。

 ミノカサゴの独特な構造に着想を得て、2018年5月、之江実験室スマートロボット研究センターと浙江大学交差力学センターは、ミノカサゴをモデルにしたバイオニック深海ソフトロボットの研究を開始した。プロジェクトチームが開発したこのロボットは魚のような形で、長さ22センチ、翼幅28センチ、大きさはA4紙に相当する。制御回路、バッテリーなどのハードウエアデバイスがゲル状の柔らかい本体に組み込まれている。調整デバイスとソフトの材料・構造を設計することで、ロボットは耐圧ハウジングがなくても、1万メートル級の深海の静水圧に耐えることができる。総括して言えば、深海の静水圧に適応したソフト・ハード融合機器システムと深海の高圧・低温環境に適した新型の誘電高弾性アクチュエータのこの二つの技術が、この新たなバイオニック深海ソフトロボットを作り上げた。

「伝統的な『よろい』のような高気圧深海装備に比べ、私たちは新しい技術を通じて深海ソフトロボットを開発し、深海探査の難易度とコストを大幅に低減することを目指している」と、この論文の第一著者で、之江実験室スマートロボット研究センターの高級研究専門員の李国瑞(Li Guorui)博士は言った。

 2019年12月、バイオニック深海ソフトロボットはマリアナ海溝の1万900メートルの深海で、安定した駆動が確認できた。2020年8月27日深夜、同ロボットは南海3224メートルの深海で自らの動力による水中移動を成功させた。

「私たちが開発したロボットは深海、極地、高衝撃などの劣悪な環境や特殊な環境の下で、うまく発展・応用していけると期待している」と李博士は述べた。将来、彼のプロジェクトチームは深海ソフトスマート設備のエネルギー・駆動・感知の一体化システムの開発を継続し、バイオニック深海ソフトロボットの知能を向上させ、同時に応用コストを低減することを目指すとしている。同プロジェクトの梁芸鳴(Liang Yiming)研究員は、「私たちはバイオニックソフトロボットのコア技術を潜水設備に応用し、小型化された深海装備を開発することで、深海通信、深海検査などの機能の実現も目指す」としている。(c)People’s Daily/AFPBB News