【3月9日 Xinhua News】中国の浙江大学(Zhejiang University)と之江実験室の研究チームは、3年間にわたる協力の末、水深1万メートルの深海で操作・制御可能なバイオニック深海ソフトロボットを開発した。研究成果は北京時間4日、英科学誌「ネイチャー」に掲載された。

 研究はマリアナ海溝の水深6千~1万1千メートルに生息するクサウオから着想を得た。クサウオはゼリー状の柔らかい体の中に断片的に骨格があり、100メガパスカル近い圧力にも耐えられる。

 プロジェクトチームが開発したバイオニック深海ソフトロボットは魚のような形で、長さ22センチ、翼長28センチ。高圧・低温環境下でも良好な電動駆動性能を維持できるインテリジェントソフト材料で制作された。制御回路やバッテリーなどのハードウエア部品が、ゼリー状の柔らかいボディーに組み込まれており、耐圧殻なしで1万メートル級の深海の静水圧に耐えることができる。

 2019年12月、バイオニック深海ソフトロボットはマリアナ海溝の底に到達した。海上試験の映像記録からは、ロボットが同海溝の深さ1万900メートルの場所で、安定して翼を羽ばたかせて駆動していることが確認できた。2020年8月27日には、同ロボットが水深3224メートルの場所で、自律的な水中移動に成功した。

 研究者は今後、バイオニックソフトロボットの重要技術を深海用潜水調査船に応用し、小型化された深海探査用機器を開発・製造することで、深海での通信や探査・測定などの機能実現を目指すとしている。(c)Xinhua News/AFPBB News