【4月5日 AFP】4日に行われた20-21スペイン1部リーグの第29節では、バレンシア(Valencia CF)のMFムクタル・ディアカビ(Mouctar Diakhaby)がカディス(Cadiz CF)の選手から人種差別を受けたとして、チームメートがピッチを後にして試合が中断になる一幕があった。結局試合は再開されたものの、バレンシアを率いるハビ・ガルシア(Javier Gracia Carlos)監督は後に、プレーしなければ処分を受けると告げられたと明かしている。

 ディアカビが人種差別の被害に遭ったとバレンシアが主張したため、この日の一戦は37分で中断となった。

 カラ(Juan Torres Ruiz 'Cala')と激しく口論したディアカビは、審判のダビド・メディエ・ヒメネス(David Medie Jimenez)氏にピッチを離れる意思を示していた。

 バレンシアの選手たちがディアカビに続いてピッチを離れると、カディスの選手もすぐに選手用通路を通って控室に戻った。

 約15分後にバレンシアの選手がピッチに戻ると、その5分後には試合は再開されたが、ディアカビはウーゴ・ギジャモン(Hugo Guillamon)と交代し、スタンドから試合の行方を見守った。

 バレンシアのガルシア監督は「もし戻らないなら処分を受けると控室で言われた」と述べたが、誰にそう迫られたかは明かさなかった。

「あのときわれわれは当時の状況についてディアカー(ディアカビの愛称)と話し合った。彼はプレーはしたくないと言っていたが、処分を受ける可能性をなくすためにもチームがプレーを続けなければならないことはしっかりと理解していたので試合に戻った」

 バレンシアは当初、ピッチに戻ったのはディアカビの判断だったと示唆していた。

 試合再開直後、バレンシアはSNSに「チームは話し合いを行い、クラブの名誉のために試合続行を決めた。だが、いかなる種類の差別も非難する」と投稿した。

「@Diakhaby_5(ディアカビ) に対する全面的な支持を表明する。人種差別を受けたディアカビが、チームメートにピッチに戻るよう要求した。われわれはムクタルを支持する」

 一方、カディスのアルバロ・セルベラ(Alvaro Cervera)監督によれば、カラはディアカビに対して人種差別をしていないと主張したという。

「控室に戻って話し合った」と述べたセルベラ監督は、「その選手(ディアカビ)を決して侮辱していないとカラは言っていた」と続けた。

 ラ・リーガ(La Liga)側は試合後、この件についてコメントを出さなかった。

 バレンシアから正式な申し立てがあったり、審判報告書にこの件に関する記載があったりすれば、さらなる調査が行われ、カディスに対して処分が下る可能性がある。

 先制点を挙げたカラがハーフタイムでベンチに下がったカディスは、ケヴィン・ガメイロ(Kevin Gameiro)にゴールを許し同点とされたが、カラとの交代で投入されたマルコス・ロペス(Marcos Mauro Lopez Gutierrez)が終盤にゴールを挙げ、バレンシアを2-1で下した。(c)AFP/Thomas ALLNUTT