【4月1日 AFP】米ニューヨーク中心部で65歳のアジア系女性が男に暴行を受けた事件で、警察は3月31日、容疑者を逮捕・訴追したと発表した。

 警察によると、ブランドン・エリオット(Brandon Elliot)容疑者(38)は3月30日夜、犯行現場に近いタイムズスクエア(Times Square)にある、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてホームレスの人たちを収容していたホテルで逮捕され、31日未明にヘイトクライム(憎悪犯罪)として、重暴行罪で訴追された。

 エリオット容疑者は2002年、当時5歳だった妹の目の前で母親を刺殺して服役。2019年に仮釈放され、終身保護観察に付されていた。

 マンハッタン(Manhattan)のサイラス・バンス(Cyrus Vance)検事によると、有罪になれば、25年以下の禁錮刑を科される。

 事件は、マンハッタンのミッドタウン(Midtown)地区の歩道で3月29日の白昼に発生。複数人が気づいていたとみられるが、誰も被害者を助けようとしなかった。

 警察が公表した防犯カメラの映像によると、容疑者が女性に近づいて腹を蹴り、女性が倒れた後も頭を数回蹴った。警察によると、女性に対して「アジア人を差別する発言」をしていた。

 映像によると、カメラが設置された建物内では、配送員とみられる男性が成り行きを見守っていた。さらに2人の男性が現れたが、容疑者が立ち去っても女性を助けようとせず、ドアを閉めた。

 地元メディアによると、女性は骨盤の骨折などで入院したが、すでに退院している。(c)AFP/Peter HUTCHISON