【4月1日 AFP】世界保健機関(WHO)は3月31日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特効薬として一部ソーシャルメディアで推奨されている抗寄生虫薬のイベルメクチンについて、新型ウイルス感染者の治療には使用するべきでないとの見解を示した。

 ブラジルやフランス、南アフリカ、韓国では、安価なイベルメクチンをコロナ治療薬として推奨するフェイスブック(Facebook)の投稿や記事が拡散している。

 これを受けWHOは、イベルメクチンを臨床試験(治験)以外の状況で患者に使うべきでないとする指針を発表。同薬が致死率や入院、体内からのウイルス除去にもたらす効果については「証拠が非常に不確実」だと指摘し、治験以外では「症状の度合いや期間にかかわらず、いかなる患者にも」使用すべきではないとした。

 WHOは、患者2400人を対象に、イベルメクチンをプラセボ(偽薬)や他の医薬品と比較したランダム化比較試験16件を調査。「現在、イベルメクチンのCOVID-19に対する作用機序に関する説得力あるエビデンスが欠けており、観察された臨床的有用性は説明できない」と結論した。(c)AFP/Robin MILLARD