【1月16日 AFP】(更新)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として抗寄生虫薬のイベルメクチンを使用することについて、科学者らが警告を発している。

 ブラジルやフランス、南アフリカ、韓国では、イベルメクチンをコロナ治療薬として推奨するフェイスブック(Facebook)の投稿や記事が増えている。

 疫病の調査団体「バルセロナ・インスティチュート・フォー・グローバル・ヘルス(ISGlobal)」の専門家は、「中南米諸国におけるイベルメクチンに関する政策判断は、昨年4月上旬に発表された査読前の論文の分析におおむね基づいている」と指摘。

 査読前の論文とは一般的に、インターネット上には公開されているものの、学術誌に掲載される前に他の研究者がその研究結果を精査する過程である査読を受けていない論文を意味する。

 専門家らがこの調査の方法論を疑問視したことで、論文はその後撤回された。

 米食品医薬品局(FDA)は先月ウェブサイト上で、イベルメクチンは新型コロナウイルス感染症の予防や治療を目的とする医薬品としては承認されていないと警告した。

 研究者らは、イベルメクチンを支持する誤った研究が闇市場での売り上げを増やし、さらなる科学的調査を妨げてコロナ流行への政府の対応に影響を与えていると指摘している。

 イベルメクチンを既に服用している人は非常に多く、そのような人たちは新型コロナウイルスに対するイベルメクチンの効果を調べる臨床試験に参加することはできない。このため臨床試験の参加者を集めるのに苦労しているとペルーの科学者らが昨年10月、英科学誌ネイチャー(Nature)に語っていた。(c)AFP/Julie CHARPENTRAT