【3月31日 AFP】米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は30日、東京五輪の出場選手を決める選考会で、選手が拳を突き上げたり、国歌演奏の最中に膝をついたりすることを認めると発表した。

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 許可される抗議のルールを定めた新たなガイドラインの中で、USOPCは、人種的、社会的な正義を求めるジェスチャーを使ってもよいと述べた。その中には、表彰式や国歌演奏中の膝つき、表彰台やスタートラインでの拳の突き上げ、あるいは「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」や「Trans Lives Matter(トランスジェンダーの命は大切)」、「平等」や「正義」という言葉が書かれた帽子やマスクの着用も含まれる。

 今回の新方針は、選手の抗議を厳しく禁じていた以前の規則から完全に決別するものになっているが、USOPCは、適用されるのは選考会のみだと強調している。東京五輪の本大会については、国際オリンピック委員会(IOC)とパラリンピック委員会(IPC)が方針を定めた後で、別のルールを改めて発表するという。

 USOPCは、武器を持たないアフリカ系米国人のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが、警察による拘束下で死亡した2020年5月のミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)の事件後、全米で抗議デモが起こる中で方針の見直しに取りかかった。

 IOCは五輪憲章の規則50の中で、五輪での選手による抗議全般を固く禁止しているが、米国選手や選手の国際団体は、この決まりに対する異議の声を高めている。

 今回のUSOPCのガイドラインでは、許可されない抗議の細かな基準も示され、「ヘイトスピーチ、人種差別的なプロパガンダや脅迫、暴力的または差別的な言動、人や財産へ危害を加える行為など、人間や人間の品位、権利に反する」ことを支持するジェスチャーは引き続き禁止となる。(c)AFP