【3月31日 AFP】前週末に行われた2022年サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)欧州予選のセルビア対ポルトガル戦で、決勝ゴールかと思われた得点が認められないことに怒ったポルトガルの主将クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)が投げ捨てたキャプテンマークが、30日にオークションにかけられた。売上金は病気の赤ん坊の支援に寄付されるという。

 試合は両チーム2-2で迎えた後半アディショナルタイムに、ロナウドが値千金のゴールを決めたかに思われた。しかし、シュートが相手選手のクリア前にゴールラインを越えていたように見えた中で、テクノロジーが使われていないこともあって得点は認められず、怒って抗議したロナウドはイエローカードをもらった。そして試合終了のホイッスルとともにピッチを後にし、その際にキャプテンマークを投げ捨てた。

 そのキャプテンマークを会場スタッフの男性が拾い、すぐさま現地のスポーツチャンネルに連絡を取って、チャリティーオークションに出すアイデアを伝えた。男性は、珍しい病気に苦しむ生後6か月のガブリロ・ジュルジェビッチ(Gavrilo Djurdjevic)ちゃんの治療に必要な資金集めのため、今回の提案をしたという。

 匿名を条件に電話取材に応じた男性は、「3メートル離れたところで(ロナウドが)キャプテンマークを放り投げ、これは(オークションに出すのに)良い機会かもしれないとすぐに思った」と話し、「注目があったし、ガブリロちゃんのために何かできるかもしれないと考えた」と続けた。

 キャプテンマークは、セルビアのスポーツチャンネルSportKlub TVが試合後の写真と動画をチェックして本物であることを確認し、慈善団体と連携してオークションサイトのLimundo.comに出品した。チャンネルのソーシャルメディア責任者は「ロナウド本人にも連絡が取れればと思っている。ガブリロちゃんを助けるためにできる限りのことをしたい」と話している。

 赤ちゃんは、脊髄性筋萎縮症(SMA)という病気にかかっている。これは新生児1万人に約1人の割合で発症する病気で、患者の9割が2歳までに命を落とすか永続的な人工呼吸器を必要とする。

 キャプテンマークは、オークションに出されてからわずか数時間後の30日昼過ぎの段階で、入札額が36万セルビア・ディナール(約40万円)を超えた。慈善団体では、直接の寄付も受け付けている。(c)AFP