【3月31日 AFP】米国は今週、駐パラオ大使をパラオ大統領の台湾訪問に同行させた。現職の米外交官による訪台はまれで、中国外務省は29日、これに強く反発した。米国は、太平洋地域で拡大する中国の影響力への対抗姿勢を示している。

 パラオは台湾と外交関係がある15か国の一つ。スランゲル・ウィップス(Surangel Whipps)大統領は、台湾・パラオ間の渡航規制を緩和する「トラベルバブル」事業の開始に合わせて訪台した。

 これに同行したジョン・ヘネシーニランド(John Hennessey-Niland)米大使は30日、台北で記者団の取材に応じ、台湾を「国」と呼ぶ異例の発言を行った。

 米政府は過去には、現職外交官を台湾に送ることは避けていたが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権が方針を転換。ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領もこれまでのところ、前政権の姿勢を維持している。

 オーストラリア国立大学(Australian National University)の講師で、台湾研究を専門とする宋文笛(ソン・ウェンティ、Wen-Ti Sung)氏は、米国が太平洋地域で拡大する中国の影響力に対抗しようとしていると指摘する。

 宋氏はAFPの取材に対し、「太平洋諸国の団結が弱まると、同域で心をつかもうとする中国の外交攻勢の場が広がることになる」と述べた。(c)AFP