【3月25日 AFP】英中央銀行のイングランド銀行(Bank of England)は25日、第2次世界大戦(World War II)中の暗号解読者で、同性愛者だったアラン・チューリング(Alan Turing)の肖像が描かれた新50ポンド紙幣を公開した。多様性をたたえるデザインだとしている。

 耐久性が高く偽造しにくいこのポリマー(プラスチック)紙幣は、チューリングの誕生日の6月23日から流通が開始される。

 数学者だったチューリングは、現代のコンピューター科学の父と呼ばれる。1941年、ナチス・ドイツ(Nazi)の暗号機「エニグマ(Enigma)」の解読チームを率いた。

 イングランド銀行のアンドルー・ベーリー(Andrew Bailey)総裁は、「同性愛者でもあり、そのせいで苛酷な扱いを受けた」チューリングを新紙幣に採用することで「その功績と、チューリングが象徴する価値観をたたえる」と説明した。

 ケンブリッジ大学(Cambridge University)卒のチューリングは、機械が人間と同じように思考できるかを判断する際に必要となる基準に注目した「チューリングテスト」を開発。人工知能(AI)の礎を築いた。

 しかしチューリングは1952年、19歳の男性との重大わいせつ行為で有罪となり、収監を免れる代わりに化学的去勢を受けた。その2年後、42歳の誕生日を迎える直前に自殺した。(c)AFP