【3月25日 AFP】フィリピン入国管理局は24日、シリアで働かせることを目的とした女性44人の売買に自局職員らが関与した疑いがあるとして、捜査を開始したと発表した。

 この人身売買事件をめぐる上院の調査で、被害女性らは観光ビザ(査証)で、就労先とされていたアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)に渡ったことが分かっている。

 調査班を率いる上院議員は、女性らは「暗く不潔な寮に閉じ込められ、床で寝かされていた」と報告。30日有効のビザが切れると、女性らはシリアの首都ダマスカスに連れて行かれ、そこで1万ドル(約110万円)で雇用主に売られた。

 同議員は先週、「わが国の入管職員らが、自国の女性らを送り出して奴隷にしていたとみられている」と非難した。

 先月には外務省も、「過酷な労働環境」を理由に、在ダマスカスのフィリピン大使館に数十人が逃げ込んでいたと発表していた。

 入国管理局長は、職員少なくとも28人がこの人身売買に関与した疑いで捜査対象となっていると明かし、「過去にすでに証明されているように、われわれは最も厳しい罰を科すことを辞さない」と述べた。

 深刻な貧困にあえぐフィリピンでは数十年前から、より高収入の仕事を求めて海外へ渡る人が後を絶たない。今では数百万人が、合法、非合法を問わず、外国でさまざまな職に就いている。(c)AFP