【3月23日 AFP】オーストラリアの複数メディアが22日、政府職員が議会内で性的行為をしている動画を公開した。動画は内部告発者から流出したとされ、男性が女性議員の議席で自慰をしているものも含まれている。

 スコット・モリソン(Scott Morrison)政権下では、政府職員の女性が同僚にレイプされたと告発した他、司法長官にレイプ疑惑が浮上するなど、スキャンダルが相次いでいる。

 モリソン氏は首都キャンベラでの記者会見で23日、このような行為は「不名誉」で「完全に恥ずべき」だと強調。自身の妻や母、そして娘がいかに大切な存在か語るなど、感情的になる場面もあった。

 さらにモリソン氏は、女性たちは「極めて衝撃的な」ひと月に耐えたと指摘。これまでの政府の対応に不満が出ていることを認め、「オーストラリアの女性たちは非常に長い間、このような経験をしてきた。今、こうしてスポットライトが当てられたことを歓迎する」と述べた。

 今回流出した動画や画像は、全国紙オーストラリアン(The Australian)とテレビ局チャンネル10(Channel 10)が22日夜に公開したもので、政府職員のグループチャットで共有されたとされている。

 トムと名乗る内部告発者は、複数のメディアに対し、政府職員と議員が、議院内の礼拝室で頻繁に性行為をしており、議員の楽しみのためセックスワーカーを連れ込んだこともあると語った。

 また、ある職員グループは日常的にわいせつな写真を交換しており、告発者であるトム自身も、あまりにも大量のこうした動画を受け取ったため「免疫ができていた」という。

 告発を受け、職員1人が即時解雇された。政府はさらなる対処を約束している。

 オーストラリアでは先週、連邦議会内でのレイプ被害の告発を受け、大規模な抗議デモがあったばかり。今回の映像についても、女性議員や国民から激しい怒りの声が上がっている。

 豪議会は、慢性的ないじめや嫌がらせ、女性に対する性的暴力を生んでいるとされる「有害な」職場文化について、何度も批判されている。

 先月は、保守派与党・自由党の職員だったブリタニー・ヒギンス(Brittany Higgins)さんが、2019年に議会内の議員執務室で同僚にレイプされたと告発。今月には、クリスチャン・ポーター(Christian Porter)司法長官が学生だった1988年に16歳の少女をレイプした疑惑が浮上した。ポーター氏は疑惑を否定している。(c)AFP