【3月23日 東方新報】北京大学(Peking University)新構造経済研究所の所長、著名な経済学者、林毅夫(Lin Yifu)氏は3月21日、北京で行われたシンポジウムで講演し、「中国が今後10年間、年率5%から6%の経済成長を達成できれば、2030年までに世界最大の経済大国になる」と語り、大きな反響を呼んだ。インターネットには「中国民族の偉大なる復興はついに実現する」といった書き込みが見られた。

 中国の経済規模は2020年に101兆5990億元(約1697兆9870億円)を記録し、初め100兆元(約1670兆円)を超え、世界経済で約17%を占めるようになった。林氏は講演で、2035年まであと約15年間、「比較的速い成長を続ける可能性がある」と予測し、「年間5%から6%」の成長を続けるなら2030年までに米国を超え、世界で最大の経済大国となる。2035年には一人当たりのGDPを2020年比で「倍増する」という目標を達成し、一人当たり2万3000米ドル(約250万円)の水準になると語った。

 中国経済成長に関し、英国のシンクタンク「「経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)」は昨年12月、中国が2028年までに、アメリカを抜いて世界最大の経済大国になるとの報告書を発表した。「新型コロナウイルスによる感染症への中国の巧みな管理能力が、今後数年間でアメリカや欧州と比較して相対的な成長を後押しするだろう」同シンクタンクが予測した。林氏の講演は、CEBRの報告書と比べて、2028年と2030年と2年の時間差があるとはいえ、中国は今後、比較的に速い経済成長を続ける見方がほぼ一致している。

 世界銀行(World Bank)のチーフエコノミスト兼高級副総裁を務めたことがある林毅夫氏は、中国を代表する経済学者の一人として知られる。1952年に台湾で生まれ、27歳の時に現役の軍人として、離島、金門島から台湾海峡を泳いで対立関係にあった中国大陸に亡命した。その後、米シカゴ大学(University of Chicago)への留学を経て帰国し、国務院農村発展研究センター発展研究所副所長、北京大学教授などを歴任し、中国の改革開放初期に、党と政府の指導者のアドバイザーを務めた。今でも政府首脳と頻繁に連絡を取り、政策決定に大きな影響力を持つとされる。

 中国の経済規模は、1970年代末期から始まった改革開放政策に伴い、高度成長期に入り、約40年間で平均10%近くの成長率を維持する奇跡を記録した。1980年のGDP規模の3029億ドル(約32兆9280億円)から2020年の約14兆7300億ドル(約329兆2300億円)まで、40年で約50倍となった。2007年にドイツを抜き世界3位となり、2010年に日本を抜いて世界2位となった。(c)東方新報/AFPBB News