【1月28日 東方新報】中国国家統計局が発表した速報値によれば、2020年の中国の国内総生産(GDP)は、前年比2.3%増で、101兆6000億元(約1627兆円)を記録し、初めて100兆元(約1601兆円)の大台を突破した。

 2.3%増とは、米中貿易摩擦と新型コロナウイルス流行などの影響で、1992年以来の最低水準の成長率だが、日米や欧州各国が軒並み大幅なマイナス成長を余儀なくされる中で、中国は唯一と言っていいほどプラス成長を記録した主要国である。

 2020年の四半期ごとに成長率を見ると、1~3月は6.8%減、4~6月は3.2%増、7~9月は4.5%増、10~12月は6.5%増と徐々に成長が加速しており、中国経済はすでにコロナ禍の悪影響から脱却し、高速成長のモードに入ったと言える。特に第4四半期のサービス業生産指数は前年同期比7.7%増を記録しており、今後の中国経済を支える柱になることは確実だ。

 世界銀行は2020年12月末、2021年の中国経済はさらに回復し、経済成長率は7.9%に達するとの予想を発表している。

 同時に、中国政府は2020年までに、貧困解消問題に力を入れており、全国で832の貧困県をすべて豊かにすることができた。それまで8年間で貧困人口1億人以上を貧困から脱却させている。中国の経済成長は一部の富裕層だけのものではなく、社会全体が恩恵を受けたことが大きな意味がある。

 一方、中国の経済規模が100兆元を超えることは、1979年に始まった改革開放以降、長年掲げられた成長目標の一つであり、ようやく達成したことになった。

 中国の経済規模が10兆元(約160兆円)を超えたのは2000年だった。12年に初めて50兆元(約800兆円)を突破した。20年で、経済規模を10倍も拡大させたことは、世界でまれにみる経済成長の奇跡といえる。同時に、世界GDPに占める中国の割合は2012年の11.5%から2020年の17%前後に上昇している。数年以内に20%を超えると予測する見方を浮上している。

 しかし一方、中国の経済はバラ色の未来が約束されているわけではない、少子高齢化が進み、今後、労働力の大幅減が予想される。また、人件費の上昇に伴い、製造業は東南アジアやインドなどに移転する動きが顕著になっており、広東省(Guangdong)沿海部の一部地域ではすでに産業空洞化が始まっている。地域格差や環境問題などもあり、これからの問題を克服するために、今後、経済の多元的発展とイノベーションを推進するための政策を断行し、産業の高級化と高付加価値化を目指す改革が必要とされる。(c)東方新報/AFPBB News