人種差別か、女性差別か? アジア系女性ら被害の銃撃事件の波紋 米
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■白人の米国人男性が夢想するアジア人女性の虚像
「アジア系米国人女性は、人種的にも性別的にも、性的にもステレオタイプ化されている」とチョイ氏は言う。典型的な例が「ドラゴン・レディー」や「ロータス・ブロッサム(ハスの花)」「心優しい売春婦のスージー・ウォン(Suzie Wong)」などだという。
「アジア人やアジア系米国人の女性を性的な対象として、特に白人の米国人男性のファンタジーとして描いているという点で、これらは共通している」とチョイ氏は指摘した。
マサチューセッツ州ケンブリッジ(Cambridge)に住むチチ・ジャン(Chi-Chi Zhang)さんにとって、こうした体験はありふれたものだ。白人男性から、「中華料理が好きなんだ」などとよく声を掛けられるが、同じアジア系米国人の夫は一度もそんなふうに話し掛けられたことはない。
アトランタの事件での警察の発表の仕方をきっかけに、米国のアジア系女性らはソーシャルメディアで、これまで経験した人種差別的なミソジニー被害を次々と報告し始めた。
ボストン郊外で活動するアジア系米国人の写真家ベラ・ワン(Bella Wang)さんは、事件に関するやりとり、特にソーシャルメディアでの体験談の共有が、「カタルシス効果(心の浄化作用)」をもたらしていると話す。
「私たちはいつも、ただ心の中にため込んでしまう」とワンさんは言う。「アジア人として、とにかく黙っているように教えられてきた。波風を立てるな、絶対に注目を集めないようにしろ、常に良い人であれ、と。だから、(今ネットで起きていることは)興味深い」と語った。(c)AFP/Sarah TITTERTON