ダンテ没後700年 文学の巨匠にまつわる五つのこと
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【3月27日 AFP】世界文学の巨匠ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri)は、著作「神曲(Divine Comedy)」が最も有名だ。「イタリア語の父」としても知られるダンテが死去してから、今年で700年となる。ダンテについて知っておきたい五つの事柄をまとめた。
■イタリア語の父
14世紀初頭に世に出された「神曲」では、地獄、煉獄(れんごく)、天国の三界を遍歴する空想の世界が描かれている。
ダンテは、それまで広く使われていたラテン語ではなく、当時のトスカーナ語でこの傑作を生み出したことから、イタリア語の確立に一役買ったとされている。
「神曲」の人気を受け、ペトラルカ(Petrarch)やボッカッチョ(Boccaccio)など他の中世のイタリア人作家も、トスカーナ語で執筆するようになり、こうしてイタリア語文学の基盤が築かれることとなった。
■シェークスピアに並ぶ
ダンテの「神曲」は、叙事詩であり、個人的なあがないの物語でもあるが、それはまた最も影響力のあるSF作品の一つでもある。
「神曲」の地獄編では、キリスト教の七つの大罪をもとに漏斗(ろうと)状の地獄(圏谷)が描かれている。その様子は、今日のキリスト教徒が想像する死後の世界と重なる。
英国の詩人T・S・エリオット(T.S. Eliot)が、ダンテとシェークスピア(Shakespeare)が世界を二分する存在であり、その他の追随を許さないと述べたことは有名だ。
■大衆文化におけるダンテ
「神曲」は、サンドロ・ボッティチェリ(Sandro Botticelli)やサルバドール・ダリ(Salvador Dali)をはじめ、世代を超えた画家や作家、彫刻家や音楽家らに影響を与えた。特に地獄編からのそれが大きい。
オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin)の彫刻「接吻」は、地獄編の二つ目の圏谷で出会うパオロとフランチェスカの不義を描いている。