【3月20日 CNS】先日、山西省(Shanxi)に在住している女性の徐(Xu)さんは、今年3月に、偶然にも自分が中国の動画配信大手の愛奇芸(iQIYI)の年間会員になっていたことに気づいた。その後、自分の10歳の娘に聞いたところ、その娘さんはアカウントの開設を認めた。娘さんは徐さんの携帯番号と自らの身分証明書番号で「学生VIP会員」アカウントを開設した。年会費は123元(約2063円)となり、支払時に徐さんの支払いパスワードを入力して支払った。しかも、再検証は問われなかった。

 徐さんは学生VIP会員アカウントを開設されてから3日後の3月10日に、カスタマーセンターに問い合わせた結果、「会員の有料サービスは、未使用でも払い戻しはできない」と、申請を拒否された。

 愛奇芸アプリの画面に表示された情報によると、学生VIP会員は23歳以下のユーザー向けにカスタマイズされた優待コースだ。会員の特権は広告非表示・除去特権、映画ダウンロードのスピードアップ、膨大な無料ライブラリ使用などに及ぶ。

 記者が体験してみてわかったのは、学生VIP会員アカウントの開設はとても簡単ということだ。身分証明書番号、購入期間、学校名のみを記入しさえすれば開設できる。記者は3歳の子供の身分証明書番号、任意の購入期間と学校名を記入したら、「検証が完了しました」と表示された。あとは料金を払えば開設できるという。

 開設後は、愛奇芸アプリの学生VIP会員ページは通常のページと変わらない。カスタマーセンターも、学生VIP会員ページの内容は通常のゴールドVIP会員ページと変わらないと言う。

 徐さんが心配されているのは、愛奇芸アプリにも「青少年モード」があるが、10歳の娘が自分の身分証明書番号を利用して学生VIP会員アカウントを開設した後には、愛奇芸は青少年モードが作動せず、年齢にふさわしくない内容のフィルタリングも機能しなかったことだ。

 情報筋によると、青少年モードとは、2019年の「6月1日の子供の日」に中国国家インターネット情報弁公室の統括・指導のもとで、愛奇芸および他の17のオンラインビデオプラットフォームがリリースした青少年ゲーム依存防止システムのことだ。愛奇芸アプリの画面表示によると、青少年モードをオンにすると、自動的に時間ロックがかかり、夜10時から朝6時までは利用できない。1日の利用時間は40分以内だという。

 記者の実測によると、愛奇芸の学生VIP会員モードでは、青少年モードをオンにしても、未成年者は自分で簡単にオフにできるという。

 中国インターネット情報センター(CNNIC)が2020年に発表したデータによると、現在、中国では未成年者のインターネット利用者の規模は1億7500万人で、未成年者のインターネット普及率は93.1%に達している。そのうち、自分がスマホ所有しているのは63.6%という。

 これまで、中国国家新聞出版署は2019年11月に発表した「未成年者オンラインゲーム依存防止に関する通知」は、ネットゲーム企業は8歳未満のユーザーにゲームの有料サービスを提供してはならないと定めている。ビデオなどの娯楽性アプリはネットゲームアプリのやり方を参考にすべきだと分析されている。(c)CNS-北京青年報/JCM/AFPBB News