【3月16日 AFP】英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)が開発した新型コロナウイルスワクチンについて、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの欧州連合(EU)4か国は15日、血栓症への懸念から接種を一時停止すると発表した。一方、世界保健機関(WHO)と欧州医薬品庁(EMA)は、同ワクチンの安全性に問題はないと強調した上で、今週臨時会合を開くと表明した。

 欧州ではアストラゼネカ製ワクチンの接種を見合わせる国が相次いでおり、先週末にはアイルランドとオランダがこれに加わっていた。またオランダの医薬品当局は15日、同ワクチンとの関連が疑われる血栓症の事例が10例あると発表。フランスでの接種中止を発表したエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は、使用再開についてはEMAの指針を待ち判断すると述べた。

 アストラゼネカとWHOはいずれも、同ワクチンが安全に使用でき、接種を停止する理由はないとしてきた。WHOは15日、同ワクチンの安全性を協議する会合を翌16日に開くと表明すると同時に、各国は同ワクチンの使用を続けるべきだとの見解を改めて示した。

 EMAも15日、アストラゼネカ製ワクチンをめぐる「今後の行動」を決定するため18日に臨時会合を開くとしつつ、接種によるメリットはリスクを上回ると指摘した。

 EMAは、同ワクチンの副作用として血栓症が疑われ、一部の事例では血液凝固を助ける血小板が少ないなどの「異常な特徴」もみられると指摘。ただしこれらは「ワクチン接種を受けたごく少数の人」に起きたことだとし、「接種者全体における血栓塞栓症の発症例の数は、一般の人々の間で見られる水準に比べて高くないようだ」と言明した。(c)AFP