【2月27日 AFP】メキシコ人のアレリ・トーレス(Areli Torres)さん(31)が新型コロナウイルスに感染した時、発熱と頭痛の症状は数日で消えた。しかし、医師らが長きにわたる後遺症を正しく診断するまで、7か月かかったという。メキシコでは今、医療現場が長期の後遺症に苦しむ患者への対応に追われている。

 エンジニアのトーレスさんは昨年6月、新型コロナに感染。最もひどい症状は4日ほどで治まったが、感染から1か月後、体の一部の感覚がなくなり始めた。現在、最も強い違和感は脚に出ている。

 トーレスさんは「すべてが不確かで、すべてが試練だ。4人の医師の診察を受けた」と話す。

 医師の一人は不安が原因だとみて、抗うつ薬を処方した。トーレスさんはセラピーにヨガ、運動を試したが、それでも「体の半分に感覚がない状態」が続いたという。

 今月になってようやく、別の医師が新型コロナウイルスによる神経系の炎症が原因だと突き止めた。

 公式の統計によると、人口およそ1億2600万人のメキシコでは少なくとも160万人が新型コロナウイルス感染症から回復し、約18万4000人が死亡した。

 後遺症に苦しんだ人の数に関するデータはない。しかし、医師らは次第に、当初は症状が軽かった人も、後遺症が出るリスクがあるとの見方を示している。

 症状は呼吸器や胃腸、腎臓、肝臓、神経系に表れ、倦怠(けんたい)感や筋力の低下、神経系の疾患、不安感に直面することもあるという。

 世界保健機関(WHO)は今週、各国政府に対し、新型コロナの後遺症に関する調査を優先的に行うよう求めた。WHOによると、新型コロナウイルス感染症にかかった人のうち10人に1人は12週間が経過しても体調がすぐれず、症状がさらに長期化するケースも多いという。(c)AFP/Jennifer Gonzalez Covarrubias