【3月13日 AFP】フランスは今週、宇宙空間で初めて軍事演習を実施し、自国の衛星防衛能力を試した。宇宙で大国同士の競争が激化している様子を示す動きの一つとなった。

 新設された宇宙担当司令部のトップ、ミシェル・フリドリング(Michel Friedling)氏は、今回の演習は「われわれのシステムのストレステスト(耐力試験)」であり、宇宙空間での演習は「フランス軍にとって初、欧州でも初」となったと述べた。

「アステリックス(AsterX)」とのコードネームが付けられた演習は、8~12日に行われ、危険をもたらしかねない宇宙の物体や、人工衛星への脅威を監視する模擬演習となった。米宇宙軍とドイツの宇宙局も参加した。

 12日には、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領もトゥールーズ(Toulouse)の国立宇宙研究センター(CNES)を訪れ、演習の様子を視察した。

 2019年、フランスは宇宙担当司令部の設置を発表し、2025年までに500人への増員を予定している。

 発表当時、フロランス・パルリ(Florence Parly)国防相は「同盟も非友好国も宇宙の軍事化を進めている。(中略)われわれも行動する必要がある」と述べ、中国、ロシア、米国との宇宙軍事力の差を埋めるため、衛星を攻撃できるレーザー兵器や新しい監視技術を開発する計画だと明かしていた。

 フランスの2019〜25年度の宇宙計画関連投資は計43億ユーロ(約5600億円)に上る見通しだが、米中の支出に比べるとごくわずかにとどまっている。(c)AFP