【3月11日 AFP】(更新)英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)が開発した新型コロナウイルスワクチンについて、デンマークを含む欧州数か国は11日、接種した患者の一部が血栓症を発症したことを受け、使用を一時的に見合わせると発表した。欧州医薬品庁(EMA)はこれを受け即座に声明を出し、同社製ワクチンに健康リスクは確認されていないと説明した。

 11日は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が宣言されてからちょうど1年に当たる。アストラゼネカ製ワクチンをめぐり今回浮上した問題は、ワクチンが生活正常化への道を開くとの期待に影を落とした。

 同社製ワクチンについてはデンマークに続き、ノルウェー、アイスランドが使用を中断。イタリアも予防措置として同社製ワクチンの一部の使用を禁止したが、同国の医薬品規制当局は、血栓症との関連は今のところ確認されていないとしている。

 EMAはAFPに送付した電子メールで、「現在ある情報からは、接種を受けた人々の間での血栓塞栓症の発症数は一般人口での発症数より高くはないことが示されている」と述べ、懸念の払しょくに努めた。

 英政府は、アストラゼネカ製ワクチンは「安全で有効だ」と主張。フランスのオリビエ・ベラン(Olivier Veran)保健相も、同社製ワクチンの使用を停止する「必要はない」と言明した。(c)AFP