水上に浮かぶ太陽光パネル、小さな島国シンガポールの再エネ発電
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■「不十分な目標」
しかし、海上の太陽光ファームも、海運業との関係で立地制限を受けるだろうとシンガポール・南洋理工大(Nanyang Technological University)エネルギー研究所幹部のスボド・マイサルカル(Subodh Mhaisalkar)氏は指摘する。
さらにシンガポールにとって、天然ガスへの依存から脱却し、製油・石油化学産業を損なわずに炭素排出を削減することはかなりの難題だろう。
フィリピンを拠点とする環境NGO「気候と持続可能な都市研究所(Institute for Climate and Sustainable Cities、ICSC)」の幹部レッド・コンスタンティーノ(Red Constantino)氏は、水上太陽光ファームなどのプロジェクトも、政府による炭素排出の取り組みが強化されなければ非力だと語る。
シンガポールは2030年にピークを迎える温室効果ガス排出量を2050年までに半減し、今世紀後半の可能な限り早い時期に排出量ネットゼロ(実質ゼロ)達成を目指すと公言している。
しかし、それでも他の先進国に後れを取っている。複数の研究機関が気候対策を分析する共同プロジェクト「クライメート・アクション・トラッカー(Climate Action Tracker)」は、シンガポールの目標を「極めて不十分」と評している。
政府が迅速に行動しなかったら、シンガポールの太陽光ファームは「単なる飾り」で終わる危険があったとコンスタンティ―ノ氏は言う。「もっと高く確かな目標を掲げる必要がある。そうすれば、シンガポール経済の発展をけん引するビジネス界へのメッセージになる」 (c)AFP/Martin ABBUGAO