【1月31日 AFP】日本は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという新しい目標のため何をするべきか。業界関係者や専門家らは、土地利用や全国送電網の運営(または整備)における古いやり方を改革して再生可能なエネルギーを拡大する必要があると言う。

 昨年11月に2050年の目標を表明して以来、菅義偉(Yoshihide Suga)首相はグリーンテクノロジー研究・開発に2兆円の支出を約束。さらに、風力発電に関する意欲的な新しいターゲットを設定した。

 世界第3位の経済大国の日本にはやるべきことがたくさんあると語るのは、再生可能なエネルギーの普及に取り組む企業「自然電力(Shizen Energy)」の磯野謙(Ken Isono)代表取締役だ。日本も15年ほど前は太陽光発電で世界をリードしていたが「ビジョンを欠いたため、完全に取り残された」とAFPに述べた。

 日本は現在、2030年までにエネルギーの22~24%を再生エネルギーで賄うことを目指しているが、意欲に欠けていると嘆く声もある。その比率はすでに2017年で17%だったからだ。再生エネルギー部門の成長とコロナ禍による需要の縮小が重なり、2030年目標が2020年で達成されたとみられる。

 国際エネルギー機関(IEA)によると、日本は2017年の温室効果ガス排出量で世界6位だった。多くの日本の原子炉が2011年の福島原発事故以来、稼働していない中、発電は石炭と液化天然ガスに大きく依存している。

 磯野氏は、再生可能エネルギーの比率を2030年までに「少なくとも40%」にすべきであり、それは現実的な目標であると考えている。

■ 遊休農地の活用

 日本は山地が多く、太陽光や風力発電には不向きとされるが、磯野氏は有り余っている放棄・遊休農地の活用を提唱する。

 法改正を通じ、地方自治体が容易に遊休農地を引き継ぎ、再生可能エネルギーのプロジェクトに利用できるようにする──この磯野氏のアイデアに賛同する同業者、政府関係者がいる。

 農地利用は太陽光発電に有益だ。パネルの設置とメンテナンスが比較的簡単で、プロジェクトの規模に柔軟に合わせられるため、太陽光は日本の再生エネルギーをリードしている。

 一方、風力など他の選択肢を抑止する要因があると、シンクタンク「自然エネルギー財団(Renewable Energy Institute)」の大林ミカ(Mika Ohbayashi)事業局長は指摘する。

 風力プロジェクトは規模が大きいほど効率的だが、相当量の出力に対して送電網を確保するのは困難を伴う。これは日本の既存の電力会社が支配的であり、「風力など地方分散型の再生エネルギーへのアクセスは限定的」だからだと大林氏は説明する。

 他の障壁もある。10メガワットを超える風力プロジェクトは多くの場合、念入りな環境アセスメントを要求される。石炭火力発電所の場合は、150メガワット以上が同様のアセスメントの対象だ。