■「モノに魂が宿る」

 電機メーカー・シャープ(Sharp)によると、2016年に日本限定で発売した小型ヒューマノイドロボット「ロボホン(Robohon)」の売り上げは、昨年7〜9月期には前年同期比30%増となった。

 シャープの広報担当者は、子どものいる家庭だけではなく、60〜70代のシニア世代にも人気があると説明する。電話としての機能に加え、会話をしたり踊ったりすることができるロボホンだが、標準モデルの価格帯は約9万円から24万円と決して安くはない。

 人の相手をするコンパニオンロボットの先駆けには、1999年からソニー(Sony)が販売しているロボット犬の「アイボ(Aibo)」や、2015年に登場したソフトバンク(Softbank)のヒューマノイドロボット「ペッパー(Pepper)」がある。

 多くの日本人は「モノに魂が宿ったり、えたいの知れないものがどこかにいたりする感覚を当たり前のものとして受け止めている」ようだ、と語るのはロボット企業、ユカイ工学(Yukai Engineering)代表の青木俊介(Shunsuke Aoki)氏。「人間と友達になり、家族やペットのような振る舞いができる」ロボットが今の日本で求められていると言う。

 ユカイ工学が発売しているロボットの一つ、しっぽのついたクッション状の「クーボ(Qoobo)」は、なでるとしっぽを本物のペットのように振って反応する。

 同社は今月、ホームアシスタントロボットの最新版「ボッコ エモ(Bocco emo)」の販売を開始した。ミニチュアの雪だるまのような形をしたデバイスで、家族がスマートフォンのアプリから送信したメッセージを読み上げてくれる。

 高橋香織(Kaori Takahashi)さん(32)は、新型コロナウイルスの感染が広がる中、外出できない6歳の息子のためにユカイ工学のロボット組み立てキットを購入した。ロボットは数多くの日本の映画やアニメで扱われているため、日常生活になじんでいると言う。

「『鉄腕アトム(The Mighty Atom、後にAstro Boy)』や『ドラえもん(Doraemon)』は私の世代(が楽しんできたアニメ)ですし、子どもも大好きなんです」