【3月5日 AFP】イタリア政府は、英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)が国内で製造した新型コロナウイルスワクチンのオーストラリアへの輸出を阻止した。欧州連合(EU)が導入したワクチン輸出監視制度に基づき禁輸措置が取られたのは初めて。EU情報筋が4日、AFPに明らかにした。

 禁輸対象となったのは、イタリア国内にあるアストラゼネカの工場で製造された25万回分のワクチン。禁輸措置は、欧州委員会(European Commission)により承認された。イタリア政府と欧州委員会はいずれも、禁輸措置に関するコメントを控えている。

 欧州委員会は今年に入り、EUとの契約で定められた量の一部しかワクチンを供給していないとして、アストラゼネカを厳しく批判してきた。同委員会が導入した「透明性と許可制度」は、認可済みワクチンの域外への輸出計画をEU各加盟国が審査するもので、1月30日に始まり、少なくとも3月末まで実施される予定。

 EUは、年初の3か月でワクチン接種計画にはずみをつけることを目指していたが、そのためのワクチンは大幅に不足。その主な原因となったのがアストラゼネカで、同社は当初、同期間で1億回分のワクチン供給を約束していたものの、実際の供給量はその40%にとどまる見通しだ。

 EUではアストラゼネカ製のほか、米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)が共同開発したワクチン、米製薬大手モデルナ(Moderna)製のワクチンが承認されている。(c)AFP