【3月1日 AFP】中国スーパーリーグ(1部)王者の江蘇FC(Jiangsu FC)が、財政難による「ショッキングな」運営停止を発表したことを受け、国営新華社(Xinhua)通信が、リーグは運営のあり方を全面的に見直すべき分水嶺(れい)に来ていると伝えている。

 江蘇FCは、イタリア・セリエAの強豪インテル(Inter Milan)も所有する、中国の小売り大手「蘇寧(Suning)」がオーナーを務めるクラブで、わずか3か月前に昨季の国内リーグを制したばかりだったが、2月28日に「運営停止」を発表した。

 江蘇FCはまだ解散したわけではなく、売却を模索している段階だが、この件はリーグ全体を覆っている財政問題を裏付けるもので、他には天津津門虎(Tianjin Tigers FC)も近日中に解散する可能性があるとされている。数年前にはアジアの移籍金の最高額を繰り返し塗り替え、国外のスター選手をかき集めてきたリーグの衰退を象徴する出来事とも言える。

 新華社は、「信じられないショッキングな出来事に思えるが、これで狂騒状態は終わった感もある」と報道。2020年には3部までの合計16チームが解散したことを伝えた。

 スーパーリーグは、上海上港(Shanghai SIPG)がアジア記録となる6000万ユーロ(約76億円)の移籍金で元ブラジル代表MFのオスカル(Oscar dos Santos Emboaba Junior)を獲得したことを筆頭に、莫大(ばくだい)な額の年俸と移籍金を提示してスター選手を集め、知名度を高めてきた。

 中国サッカー協会(CFA)はその後、過剰な支出に歯止めをかけるべく、移籍金と同額の税金を課す制度やサラリーキャップ制を次々に導入してきた。しかし、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が起こる前からすでに、中国サッカー界では全体的に財政難が始まっていた。

 新華社は「今この瞬間に最も重要なのは、混乱や自責の念にのみ込まれるのではなく、リロードして再スタートを切ることだ」と訴え、「バブルが(予想よりも)早めにはじけたという意味では、これは良いことでもある」と続けた。そして、「中国プロサッカーは高スピードの猛烈な成長期を終え、一つ目の『分水嶺』を迎えている」とし、「サッカーの原則や市場の原理を尊重し、若手の育成や長期的な取り組みに力を入れるべきだ」と主張した。

 新シーズンの開幕に、江蘇FCと天津津門虎の姿がないことはほぼ確実とみられる。開幕は4月の見込みだが、新型ウイルスをめぐる状況が不透明なこともあり、具体的な日程はまだ決まっていない。(c)AFP