【2月26日 AFP】バングラデシュ当局は、国内最大の売春街として知られる西部ダウラトディア(Daulatdia)で、セックスワーカー約1900人を対象とした新型コロナウイルスワクチン接種を開始した。

 バングラデシュでは英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)のワクチンを確保し、2月の接種開始からこれまでに40歳以上の国民300万人近くが接種を受けている。この年齢制限を、ダウラトディアの性産業従事者については撤廃した。

 地元の保健当局者アシフ・マフムド(Asif Mahmud)氏は、毎日数千人もの客が訪れるダウラトディアでは「セックスワーカーらの感染リスクが最も高い」と説明。「セックスワーカーへのワクチン接種は、非常に必要とされている」と述べ、すでに100人以上が接種を受けたとAFPに語った。

 当局は、売春街にセックスワーカー専用の接種会場を開設することも検討しているという。

 バングラデシュは売春が合法化されている数少ないイスラム教国で、19歳以上の女性に限ってセックスワークを認めている。人口1億6800万人の同国には、少なくとも11か所の売春街があるとされる。

 昨年3月に1か月にわたり全国的なロックダウン(都市封鎖)が敷かれた際は、売春施設の利用も制限され、多くのセックスワーカーとその家族の生活が大打撃を受けた。地元関係者によると、食料配給と補助金に頼らざるを得なくなった多くのセックスワーカーが売春宿を出て、路上で客を取るようになったという。

 ダウラトディアのセックスワーカー組合は、ワクチン接種が性産業に従事する人々が立ち直るきっかけになるとの期待を示している。(c)AFP/Sam JAHAN