【2月26日 AFP】新型コロナウイルスに感染し、死亡したとうわさされていたタンザニアのフィリップ・ムパンゴ(Philip Mpango)財務・計画相が、健康であることをアピールするため退院記者会見を開いた。だが、マスクをせずにせき込み、息を切らしながら話す動画が24日、ソーシャルメディアで拡散し、非難の声が相次いだ。

 タンザニアはこれまで、新型ウイルスの深刻性を軽視していると批判されてきた。

 ジョン・ポンベ・ジョセフ・マグフリ(John Pombe Joseph Magufuli)大統領は何か月も、新型ウイルスは祈りによって回避できると主張していた。だが先週、ザンジバル(Zanzibar)自治政府の副大統領が新型ウイルスで死亡したことが明らかになると、新型ウイルスは依然として、国内で流行していると認めた。

 ムパンゴ氏は会見で、自身の病名は明らかにしなかった。せき込みながら、震える声で14日間入院していたと説明し、「酸素ボンベと一緒に病院にやってきたが、最後の3日間は体調が回復したため使わなかった」と強調した。

 首都ドドマの病院前で開いた会見には、報道陣10人ほどが参加した。マスクを着けずにせき込むムパンゴ氏の両脇には、同じくマスクを着けていない医師と院長が座った。その背後には数人の医師と看護師が立っていたが、全員マスクを着用していた。

「ムパンゴ氏を見れば、話している場合ではないことは分かったが、おそらく何らかの圧力が背後にあったのだろう」と、会見の場にいた一人が匿名を条件に明かした。

 ソーシャルメディアには、恐ろしい会見だったと非難する声があふれた。

 昨年4月以降、タンザニアは新型ウイルス関連のデータを公開していない。

 マグフリ大統領は21日、自身の側近数人と家族が新型ウイルスに感染したが回復したと明らかにし、気乗りしない様子でマスクの着用を呼びかけた。(c)AFP