■「ここなら、子どもたちにも食べさせてやれる」

 冒頭のコミュニティーセンターは、午前中には地元に住む高齢者が礼拝に訪れ、午後には児童らが放課後に活動する場になっているが、昼時になると、働き盛りの年齢の男女が幼い子どもを連れ、食事を求めてやって来る。

 責任者のムカリティ氏は、「コロナが広がり始めてから食べるのに困る人が増え、地域のいろいろな人がここに集まって来るようになった」と話す。最近は1日だけで最高1500人が来たこともあるという。

 その需要を満たすことができるのは、食料廃棄物を再分配するネットワークのおかげだ。昨年4月に発足して以来、ヨハネスブルク市内と周辺で150万食近くを提供してきた。

 コロナ禍で困窮した生活実態についての調査では、南アでロックダウン(都市封鎖)が始まった昨年4月、食費が尽きたと回答した世帯は全体の47%に上った。

 コミュニティーセンターを利用する多くの人と同様、ドロモさんにとっても昨年は無料食堂が唯一の頼みの綱となった。

 ファストフード店で働いていた夫はロックダウン中に失業。時を同じくして、ドロモさんも近所の人々からの縫製の仕事の依頼が来なくなった。わずかな貯金は、昨年9月に2人が住んでいた仮設住宅で火災が起きた時に使い果たした。

「ここなら、子どもたちにも何か食べさせてやれる」とドロモさん。「食べ物と住まいを求めて必死です」 (c)AFP/Sofia CHRISTENSEN