【2月28日 東方新報】中国共産党と国務院は2月中旬、2021年の「1号文書」を発表した。昨年同様、農業問題を取り上げた。「農村振興の全面的推進と農業および農村の現代化加速に関する中共中央と国務院の意見」と題される今年の「1号文書」は、習近平指導部が近年、最も力をいれた貧困脱却に伴う措置と農村振興に関するさまざまな指示が盛り込まれている。

 中国共産党と政府は毎年、各省庁や地方の党組織と政府に対し、多くの指示を文書にして出しているが、毎年の旧正月(春節、Lunar New Year)の後に出す最初の文書は「1号文書」と呼ばれる。党指導部として、同年で最も重要視している政策テーマだと言われている。2004年以降の「1号文書」は、18年連続で「農業、農村、農民」に関するテーマとなっている。党指導部は農業問題を重視していることが伺える。

 今年の1号文書は、昨年に貧困脱却という目標を達成した後、再び貧困にならないように、支援制度を整備する内容が盛り込まれている。低所得者の実態を調査し、その必要に応じて支援を実施する。また、一部の地域では、ブタ肉の価額高騰を改善するため、養豚業者への支援など具体的な方針を打ち出している。

 同時に、農作物の種育成などについて、科学技術プロジェクトを実施する。産業化を段階的に推進し、種の生産拠点と優良品種繁殖システムの構築を強化する方針を打ち出した。外国産種の中国における市場占有率を下げることが狙いで、食の安全と安定的供給を確保する。

 また、耕地の非農業化を阻止し、計18億ムー(約1兆2000億平方メートル)の農地を守るという従来の方針を改めて強調した。中国で1970年代末の改革開放以降、農地は次々と工業用地に変更されたことを受け、国務院は2006年に「農地を18億ムー以下に減らさない」との方針を決め、以降「18億ムー農地」は農業を守るレッドラインとされてきた。

 今年の1号文書では、「中央と地方は食糧主要生産区の農地整備への投資を強化し、干ばつや洪水に関係なく一定の収穫を確保できる農地1億ムーを整備する」との目標も示された。

 習近平(Xi Jinping)国家主席は昨年末に出席した中央農村工作会議で、「私たちにとって最も重要な仕事は、農業の質を高いものにし、農村を住みやすい所にし、農民の生活を豊かなものにすることだ」と話した。今年の1号文書は、習氏の昨年の講話を具体化するものといえる。(c)東方新報/AFPBB News