■「見事な光景」

 今回の彗星起源説を支持するもう一つの証拠が、チチュルブの組成だ。小惑星帯から地球に飛来する小惑星のうち、炭素質コンドライト組成の小惑星は全体の約10分の1にとどまるが、大半の彗星は炭素質コンドライトを含んでいるのだ。

 チチュルブ衝突クレーターの他、約20億年前に形成された南アフリカのフレーデフォート(Vredefort)や、数百万年前に形成されたカザフスタンのザマンシン(Zhamanshin)など同様のクレーターでも、炭素質コンドライトが存在したことを示唆する証拠がある。

 ローブ教授は、この種の天体を探知し、必要に応じて進路をそらす方法を考案できれば理想的だとしながらも、「6600万年前、マンハッタン(Manhattan)島の全長よりも大きい隕石(いんせき)が眼前に近づいてくるのは、見事な光景だったに違いない」と話した。(c)AFP/Issam Ahmed and Lucie Aubourg