【5月27日 AFP】約6600万年前、仏パリの約2倍の直径の小惑星が地球に衝突し、当時生息していた恐竜と、地球上の生命体の75%が全滅した。これはよく知られたことだが、その衝突は直撃だったのか、それともかすめた程度だったのか、どちらがより破壊的であり得たのかは謎のままだった。

 だが、26日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究によると、小惑星は「最も致命的な」角度である60度で地球に衝突した。

 その衝撃は、地球の気候を根本的に変化させるほど大量のがれきやガスを高層大気中に巻き上げ、ティラノサウルス・レックス(T・レックス、Tyrannosaurus rex)からその餌まであらゆるものを絶滅させた。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)、独フライブルク大学(University of Freiburg)、米テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)の科学者らによる研究チームは、この小惑星の衝突でできたメキシコ南部にある直径200キロのクレーターの構造を分析した。

 研究チームは、可能性があると考えられる4パターンの衝突角度(90度、60度、45度、30度)と、2パターンの衝突速度(毎秒12キロと同20キロ)を用い、一連のシミュレーションを行った。その結果、クレーターから得られたデータと最も合致したのは60度の衝突角度だった。

 論文の主著者でインペリアル・カレッジ・ロンドンのギャレス・コリンズ(Gareth Collins)氏はAFPに対し、「地球を覆いつくすほどの大量の物質をまたたく間に放出し、他よりも致命的な影響を与える衝突角度は、60度だ」と述べた。

「チチュルブ(Chicxulub)の小惑星衝突が、大量のちりやガスをクレーターから巻き上げて地球全体に拡散させ、大量絶滅を引き起こした」とコリンズ氏は説明した。

 一方、小惑星が直角や60度以外の角度で衝突していたならば、これほど大量のがれきが大気中に放出されることはなかっただろうとコリンズ氏は補足した。放出された大量の硫黄が微粒子となって空気中に浮遊し続け、太陽光を遮断したため、気温が大きく低下したと考えられている。(c)AFP/Phineas Rueckert