【2月24日 AFP】米国のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官が、カナダのベストセラー作家ルイーズ・ペニー(Louise Penny)氏と、サスペンス・スリラー小説を出版する。発売予定は10月12日。出版元のサイモン&シュスター(Simon & Schuster)とセント・マーチンズ・プレス(St. Martin's Press)が23日、発表した。

 両社によると、「State of Terror(原題、ステート・オブ・テラー)」は、一連のテロ攻撃で世界秩序が大混乱に陥る中、政敵の政権で新たに国務長官を務めることになった女性の物語だという。

 物語のあらすじでは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領について直接的には触れていないが、舞台は「4年間にわたり世界のリーダーとしての米国の役割が低下した後」に設定されている。

 クリントン氏は2016年の大統領選で、トランプ氏の対立候補だった。トランプ氏は在職中「米国第一」主義を掲げ、米国の世界のリーダーとしての役割を阻害してきた。

 ペニー氏の作品のファンで、個人的に交流もあるというクリントン氏は発表で、「スリラー小説をルイーズと執筆するなんて夢のようだ」としている。「私たち2人の経験を持ち寄り、綱渡りの外交と裏切りの織り成す複雑な世界をつくり上げた。あらゆることは、見た目通りではない」

 一方、ペニー氏は、クリントン氏と働くことは「国務省やホワイトハウス(White House)の内側に入り込むことができた素晴らしい体験だった。重大な危機に直面した時の国務長官の頭の中もうかがい知ることができた」と述べた。

 さらに、執筆を始める前にクリントン氏の国務長官時代について話し合い、最も恐れていたことは何かという質問をしたと明かした。その答えが「ステート・オブ・テラー」だったと言う。

 ペニー氏の「ガマシュ警部(Inspector Armand Gamache)」シリーズは、31言語に翻訳されている。

 クリントン氏の夫、ビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領も執筆活動を行っている。ビル氏は2018年、ベストセラー作家ジェームズ・パタースン(James Patterson)氏との共著で、テロリストによるホワイトハウスへのサイバー攻撃を題材にした「大統領失踪(The President is Missing)」を発表。300万部以上を売り上げ、テレビドラマ化もされた。(c)AFP