【2月27日 東方新報】中国で新型コロナウイルスの偽ワクチンを製造・販売しているグループの摘発が相次いでいる。偽ワクチンの一部は海外に渡ったとみられている。中国政府は自国のワクチンへの信頼性が国内外で失われないよう、偽ワクチンを厳しく取り締まる姿勢を強調している。

 中国最高人民検察院(最高検)は今月11日、これまでに21件の事件で70人の容疑者の逮捕を許可したと発表し、代表的な事件について公表した。

 孔容疑者らのグループは昨年8月に偽ワクチンの製造を計画。インターネットでワクチン接種用の注射器を調べ、同様の注射器をネットで購入した。ホテルやアパートで生理食塩水を使った偽ワクチンを製造し、本物のワクチンのパッケージの模造品も制作した。生理食塩水が不足すると注射器にミネラルウオーターを入れていた。その後、「内部ルートでワクチンを入手した」と情報をひそかに広めて偽ワクチンを販売。昨年12月下旬に逮捕されるまで、偽ワクチン5万8000本を製造し、1800万元(約2億9300万円)の利益を上げていた。

 また、これまでマスクや防護服の転売などで利益を得ていた李容疑者らのグループは、孔容疑者たちの偽ワクチンを本物と思い込み、2000本を104万元(約1700万円)で購入。このうち600本を荷物で隠して香港に送り、海外に密輸した。残り1400本も香港と福建省(Fujian)に輸送されたが、捜査の手が及んだと感じた段階ですべて破棄したという。李容疑者らも12月下旬に逮捕されている。

 また、李容疑者グループの陳容疑者は兄とともに昨年10月、独自に偽ワクチンを購入。農村部で医師の協力を得て、12月までに200人に500回接種し、54万元(約880万円)の売り上げを得た。接種を受けた市民の通報で違法営業が発覚した。

 中国外交部の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は記者会見で「中国政府はワクチンの安全を重視し、偽ワクチンの製造や販売を厳しく取り締まる」と強調。中国は東南アジアや中東、アフリカなどに自国のワクチンを積極的に提供している。ワクチンを通じた国際貢献をアピールしている中、偽ワクチンの横行を断固として防ごうとしている。(c)東方新報/AFPBB News