【2月24日 AFP】米首都ワシントンの連邦裁判所は23日、同国で終身刑を科され収監されているメキシコの麻薬王、ホアキン・グスマン(Joaquin Guzman、通称エル・チャポ〈El Chapo〉)受刑者(63)の妻の勾留を決定した。

 グスマン受刑者は悪名高いメキシコの麻薬組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」の元最高幹部の一人で、25年にわたって大量のコカインやヘロインなどを米国へ密輸。2019年7月に米ニューヨークの連邦裁判所で終身刑を言い渡されている。

 グスマン受刑者の妻、エマ・コロネル・アイスプロ(Emma Coronel Aispuro)容疑者(31)は22日、ワシントン郊外のダレス国際空港(Dulles International Airport)で逮捕された。判事によると、コロネル容疑者には夫の麻薬取引に関与した疑いがかけられており、有罪となった場合、10年以上の禁錮刑または終身刑が科される。

 コロネル容疑者は3か月に及ぶ夫の裁判を毎日のように傍聴していた。夫の麻薬取引への自身の関与を示唆する証言があったにもかかわらず、起訴されることはなかった。

 だがここへ来て、米国へのコカイン、メタンフェタミン、ヘロイン、マリフアナなどの違法薬物の密輸の共謀と、犯罪行為のほう助・教唆の疑いがかけられている。

 裁判所に提出された文書によると、米連邦捜査局(FBI)の捜査官は、捜査協力者と別の密売人から得た証拠に基づき、コロネル容疑者が麻薬密売の収益と知りながら、その金を使って収監中の夫を援助したと主張している。

 さらに、「コロネル容疑者は2012~14年、メキシコ当局による拘束を逃れようとしていた夫の伝達役を務め、麻薬密売を助けていた」。2014年2月の夫の逮捕後も、面会を通じてその役割を継続したとされる。

 グスマン受刑者の弁護人も務めるジェフリー・リクトマン(Jeffrey Lichtman)氏によると、コロネル容疑者は無罪を主張する方針。リクトマン氏は23日、コロネル容疑者の保釈を請求する方針を裁判所に伝えた。

 メキシコと米国の二重国籍を持つコロネル容疑者とグスマン受刑者の間には、双子の娘がいる。(c)AFP