妻・愛人と密輸謀議、双子の娘溺愛…メキシコ麻薬王のメール、裁判で公開
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【1月10日 AFP】米ニューヨークで開かれているメキシコの麻薬組織最高幹部ホアキン・グスマン(Joaquin Guzman、通称エル・チャポEl Chapo)被告(61)の裁判で、検察側は9日、被告が家族らと交わしたメールの一部を公表した。妻や愛人と犯罪について謀議した記録のほか、双子の娘への溺愛ぶりをうかがわせる言葉もあり、麻薬王の親密な生活の一端をのぞかせた。
嫉妬深く偏執的な性格のグスマン被告は、ミスコンテスト優勝経験者の妻エマ・コロネル(Emma Coronel)さん(29)と愛人のアグスティナ・カバニリャス・アコスタ(Agustina Cabanillas Acosta)さんに、監視システムをインストールしたスマートフォン「ブラックベリー(Blackberries)」を渡し、2人の行動をこっそり調べていた。
一方で米連邦捜査局(FBI)も、コンピューターの専門家を雇ってインストールさせた「フレクシスパイ(FlexiSpy)」という監視アプリを通じて、グスマン被告のやりとりを知ることができた。
法廷で読み上げられたメールには、グスマン被告が妻、愛人と大規模なコカイン出荷について話し合った記録があった。
それだけでなく、子どもの話など日常的な話題もあった。2012年1月にグスマン被告が妻のコロネルさんに送信したショートメールには、2人がもうけた双子の娘の一人マリア・ホアキナ(Maria Joaquina)さん(7)について、「キキは怖いもの知らずだ」「一緒に遊べるようにAK47(カラシニコフ、Kalashnikov)を買い与えるよ」とジョークを飛ばしていた。
18歳でグスマン被告と結婚したコロネルさんは、法廷でメールが読み上げられるのを深刻な面持ちで聴き、誰とも目を合わそうとしなかった。グスマン被告は何度かコロネルさんに手を振るようなしぐさを見せた。
メキシコで2度にわたって脱獄していたグスマン被告は2017年1月に米国に身柄を移送され、昨年11月に公判が始まった。「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」の最高幹部として米国に麻薬155トンを密輸した罪に問われており、有罪となれば終身刑を言い渡される可能性がある。(c)AFP/Laura BONILLA