【2月22日 AFP】フランス政府は21日、「緑の党」出身の南東部リヨン(Lyon)の市長が学校給食で肉料理を一切提供しないと決めたのは、精肉業者に対する侮辱であり、子どもたちの健康を損ねる政策だと批判した。

 環境政党のヨーロッパエコロジー・緑の党(EELV)に所属するグレゴリー・ドゥセ(Gregory Doucet)市長は、学校給食の献立を食肉不使用の1種類のみに限定したことについて、新型コロナウイルスの流行によりソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)が求められる中で、速やかな配膳を行うためだと主張。市の方針を擁護した。

 リヨンは美食の都市として有名で、名物は肉料理だ。

 ジュリアン・ドノルマンディー(Julien Denormandie)農相は、「子どもたちの皿の上にイデオロギーを乗せるのはやめよう」とツイッター(Twitter)に投稿。「子どもの成長に必要なものだけを与えよう。肉もその一つだ」と続け、国が任命する県知事に市の決定を撤回させるよう要請したことを明かした。

 ジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相は、リヨン市の決定は国内の農家と精肉業者に対する「容認できない侮辱」だとの見解を表明。「緑の党の説教くさいエリート主義的な方針は、一般階級を排除するものだ。学校の食堂でしか肉を食べられない子どもたちも多い」と批判した。

 昨年の地方選で勝利して市長に就任したドゥセ氏は、今回の決定は「純粋に」感染拡大防止のためであり、右派政党のジェラール・コロン(Gerard Collomb)前市長も新型コロナ第1波の際に「全く同じ措置」をとっていたと反論。給食には魚や卵を使った食品が含まれており、「子どもたち全員にとってバランスの良い献立だ」と主張している。(c)AFP