【2月20日 AFP】バチカン(ローマ教皇庁)は19日、今年の暫定予算を公表し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響で5000万ユーロ(約64億円)近い財政赤字を見込んでいると発表した。

 バチカンの財務事務局が暫定予算を公表したのは初めて。フランシスコ教皇(Pope Francis)が求める透明性の向上の一環として行われた。

 バチカンは2021年度、歳入が2億6040万ユーロ(約332億9000万円)、歳出が3億1010万ユーロ(約396億4000万円)で4970万ユーロ(約63億5000万円)の赤字となる見込み。不足分は財政準備金から補填(ほてん)するという。

 多くの土地を所有するバチカンは、経営難の企業を支援するため、500万ユーロ(約6億4000万円)相当の商業用の賃貸料の減額や、支払期限の延期を実施している。

 今年は、カトリック信徒が教皇庁に納める「聖ペトロの献金(Peter's Pence)」やその他の基金が初めてバチカンの予算に含められた。今年の聖ペトロの献金は4700万ユーロ(約60億円)を見込んでいる。

 バチカンはまだ2020年度の決算を公表していないが、17日にAFPの取材に応じたバチカン高官は、歳入が前年度比で20~25%減となり、9000万ユーロ(約115億円)程度の赤字だったとみられると語った。

 2020年は聖ペトロの献金や、教区や団体からの寄付が25%程度減ったとみられる。バチカン美術館(Vatican Museum)の収入も前年度比85%減の「1億ユーロ(約130億円)程度の減収」だったという。

 決算が公表されている最新年である2019年は、歳入が3億700万ユーロ(約392億4000万円)、歳出が3億1800万ユーロ(約406億5000万円)で、1100万ユーロ(約14億1000万円)の赤字だった。(c)AFP