【2月19日 AFP】日本と米国、オーストラリア、インドの4か国の外相は18日、電話会談を行い、アジアでの民主主義の強化と、軍事クーデターが起きたミャンマーの民政復帰を共同で呼び掛けた。「クアッド(Quad)」と呼ばれる同4か国の連携は中国の反発を呼んでいるが、米国のジョー・バイデン(Joe Biden)政権は連携を維持する方針を改めて示した。

 茂木敏充(Toshimitsu Motegi)外相とアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官を含む4外相が行った会談について、米政府は声明で、バイデン氏の最優先課題である新型コロナウイルス流行と気候変動が焦点となったと説明。中国には直接言及しなかった。

 米国務省のネッド・プライス(Ned Price)報道官は、会談では「ビルマ(ミャンマー)が民主的に選出された政府に復帰する緊急の必要性と、周辺地域の民主主義の回復力強化という優先事項」が協議されたと述べた。外務省によると、茂木外相は会談で、ミャンマー国軍に対しクーデターへの抗議行動を率いる「民間人に対する、暴力的な対応の即時停止」と、国軍により2月1日から拘束されているアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)最高顧問の解放を強く求めていると説明した。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権下での混乱の後、各国との連携を改めて重視していく方針を表明していたバイデン政権は、これまでミャンマー国軍幹部と友好関係を維持してきた日本・インド両国との緊密な協力などを通じてミャンマーに圧力を加えていく意向を表明した。

 一方、西側諸国が新たに講じた対ミャンマー制裁措置から距離を置いてきたインドは、会談後の声明でも慎重な姿勢を維持。同国のスブラマニヤム・ジャイシャンカル(Subrahmanyam Jaishankar)外相は「法の支配と民主主義への移行の支持」を強調した。

 中国国営の環球時報(Global Times)は、18日の会談に先立つ論説で、4か国がアジア地域で「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えた場合、経済的報復を行う可能性もあると警告していた。(c)AFP/Shaun TANDON