【2月18日 AFP】シベリアの永久凍土層に100万年以上埋まっていたマンモスの歯からDNAを抽出して解読したとする研究が17日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。これまで解読された中では世界最古で、研究は、太古の生物に遺伝学的切り口から光を当てるものだ。

 今回解読されたゲノム(全遺伝情報)は、これまで解読された中で最古とされていた馬のDNAの78万~56万年前をはるかに超えた古さで、ケナガマンモスを含め、氷河期の巨大哺乳類に重要な見識をもたらすものだ。

 マンモスの標本3点はもともと1970年代にシベリアで発見され、モスクワのロシア科学アカデミー(Russian Academy of Sciences)に保管されていた。

 研究チームはまず各標本を別の種の標本、例えば、特定の期間のみに、同一の堆積層で見つかることで知られている小型齧歯(げっし)類と比較して、地質学的に年代を定めた。

 その結果、2点は100万年以上前の古代のステップマンモスのもの、残りの1点は、約80万年前のこれまで発見されていない初期のケナガマンモスのものであることが示された。

 スウェーデン・ストックホルムにある古遺伝学センター(Centre for Palaeogenetics)の進化遺伝学者で、ネイチャー掲載論文の上席著者ロベ・ダレン(Love Dalen)氏はまた、それぞれのマンモスの歯の小さな粉状の試料から遺伝子データを抽出したと、記者会見で説明した。

 非常に細かい破片になっていたが、研究チームはDNA鎖を構成する数千万の塩基対の解読を行い、遺伝子情報から年代を推定した。

 その結果、最も古い標本は約165万年前、2番目は約134万年前、もう1点は87万年前のものであることが示された。

 ダレン氏は、最も古い標本の年代差は、DNAの年代測定プロセスで実際より古く見積もられたためである可能性を指摘し、地質学的証拠が示したように、約120万年前のものかもしれないと説明。

 もしくは、標本は他の2点より実際に古いもので、永久凍土層からある時点で解け出し、より年代の若い堆積層に押し込まれた可能性もあると語った。(c)AFP/Kelly MACNAMARA