【2月18日 AFP】英国は、新型コロナウイルスの感染拡大抑止には完全に失敗しているにもかかわらず、ワクチンの集団接種に関しては目覚ましい成果を上げ、今月14日までに1500万人への1回目の接種を完了している。

 英国がこれほど迅速に新型コロナワクチンの接種を実施できた背景をまとめた。

■製薬会社と早めに契約

 英政府は昨年5月、英オックスフォード大学(University of Oxford)および英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)と、ワクチンの有効性がまだ確認されていない段階でワクチン1億回分を購入する契約を結んだ。これは欧州連合(EU)の購入契約よりも3か月早かった。

 英政府はさらに、ワクチンの臨床試験および製造の資金として6550万ポンド(約96億円)を拠出した。

■数々の世界初

 昨年12月初め、英国は米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)が共同開発したワクチンを世界で初めて承認した。

 そのわずか6日後に、国内で1例目となるワクチン接種を90歳のマーガレット・キーナン(Margaret Keenan)さんに行った。

 さらに数週間後、英国はオックスフォード大学とアストラゼネカの共同ワクチンを世界で初めて承認。他国は同ワクチンの有効性のデータが不十分だとして承認を保留。EUの規制当局が加盟国に同ワクチンの承認を勧告したのは1月下旬だった。

 英国はEU離脱により、EUの判断を待たずに独自の決定ができたのだとする意見も一部にある。

■意欲的な目標を掲げて達成

 ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は、イングランドで1月初めに再度の全域ロックダウン(都市封鎖)を実施した後、すべての優先接種対象者に2月半ばまでに接種を行うと明言した。

 当初は高すぎる目標に思えたが、今月14日に達成。英国民の成人4人に1人が1回目の接種を受けたことになる。

 接種の実施では1回目を優先しており、2回目の接種は12週間後となる。

 議論の分かれるところだが、英当局はこの方法で優れた初期の予防効果が得られると主張しており、この方針は先週、世界保健機関(WHO)から支持を受けた。