トランプ氏、再び無罪に 弾劾裁判で上院評決
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【2月14日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領(74)に対し行われた2度目の弾劾裁判で、上院は13日、先月6日の議会襲撃事件を扇動した罪に問われたトランプ氏に対し、無罪評決を下した。トランプ氏は前回の弾劾裁判でも無罪となっていた。
陪審役を務める上院議員100人による投票結果は有罪57票、無罪43票で、有罪票は有罪評決に必要な3分の2に届かなかった。共和党からは7議員が造反し、民主党議員らと共に有罪票を投じた。
今月9日に始まった5日間の弾劾裁判で民主党は、先月6日の議会襲撃の衝撃的な動画も使って、トランプ氏は権力にしがみつくため大統領就任時の宣誓に背き、自らの支持者を扇動して議会を襲撃させたと主張した。
投票では事前の予想通り大半の共和党議員が無罪票を投じ、トランプ氏が共和党に影響力を持ち続けていることが示された。しかし、共和党から7人の造反者が出たことで、米史上最も超党派的な弾劾裁判になった。
先月20日の大統領退任後、フロリダ州にある自身の高級リゾート施設にいるトランプ氏は無罪評決を歓迎し、自身への弾劾裁判を「わが国史上最大の魔女狩り」と非難した。
米史上初めて2度の弾劾裁判を受けたという不名誉にもかかわらずトランプ氏は、「米国を再び偉大にする歴史的、愛国的で素晴らしい運動は始まったばかりだ」とする声明を発表。「やらなければならない仕事は山ほどある。われわれはもうすぐ明るく輝かしい無限の米国の未来のためのビジョンを持って現れるだろう」として、政治活動を続けることを示唆した。
先月6日の米議会襲撃から1週間後の先月13日、下院はトランプ氏を弾劾訴追する決議案を可決。民主党は、昨年11月の大統領選後の2か月間、選挙に不正があったという根拠のない主張を執拗(しつよう)に繰り返し、支持者による議会襲撃を扇動してジョー・バイデン(Joe Biden)氏当選の正式認定を妨害しようとしたトランプ氏の行動が弾劾に値するのは明白だと主張した。
弾劾裁判で弁護側は、上院はすでに大統領を退任した人物を裁く憲法上の権限を持たないと主張。多くの共和党上院議員がこれを支持した。このほか、トランプ氏が議会襲撃前の集会で支持者らに「死に物狂いで闘え」と言ったのは修辞的な表現にすぎないとも主張した。
共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務は、弁護側の主張に従って無罪票を投じたが、それでもトランプ氏に議会襲撃を引き起こした責任があると考えている。
弾劾投票後、マコネル氏は上院で、「トランプ大統領にあの日の出来事を引き起こしたことへの実質的および道義的な責任があることに疑問の余地はない。まったくない」と述べた。
マコネル氏は、「トランプ大統領は今も、在任中のあらゆる行為について法的な責任を負うべき立場にある」として、議会でトランプ氏を罰する手段は尽きたものの、米国の司法制度ではまだそうなっていないと指摘。「彼はまだ何の罰からも逃れていない」と述べた。(c)AFP/Chris Lefkow and Michael Mathes