【2月13日 AFP】現在、世界中の多くの国で祝われているバレンタインデーだが、祝い方の慣習は地域によって大きく異なる。ロマンチックな雰囲気とは無縁なものもあり、日本では、女性が上司にチョコレートを渡すこともある一方、欧州ではカップルが仲良く過ごし、米国では子どもたちが同級生同士で友情をたたえる日となっている。一方、イスラム圏の国々では、公の場でのバレンタインデーの愛情表現は許されない。

 古代ローマの祭りからマーケティング戦略に至るまで、バレンタインデーの豊かな歴史をまとめた。

■若い女性をむち打つ

 バレンタインデーは、かつては暴力的な慣例が行われる日で、その起源は、古代ローマで行われていた浄化の儀式「ルペルカリア(Lupercalia)」にさかのぼると考えられている。ルペルカリアでは、裸になった若い男性が、子宝に恵まれるように若い女性をむち打っていた。

 それから数百年の時を経た中世では、もう少し穏やかな形式になり、若い男女をカップリングするくじ引きが祭りで行われるようになった。

■斬首された聖バレンタイン

 バレンタインデーと結び付けられる存在といえば、もちろん、3世紀のローマ・キリスト教の殉教者、聖バレンタイン(Saint Valentine)を忘れるわけにはいかない。

 聖バレンタインは、ローマ帝国の皇帝、クラウディウス2世(Claudius II)の結婚禁止令に背いてひそかに結婚式を執り行っていたため、斬首されたとされている。

 言い伝えによれば、投獄された聖バレンタインは看守の盲目だった娘を治癒し、自身の死の前日に「あなたのバレンタインより」と書かれたメモを彼女に渡したとされている。だが残念ながら、ハッピーエンドは訪れなかった。

■ラブレターを贈る

 19世紀の英国では、郵便事業の発展とともに、2月14日には「バレンタイン」と呼ばれるメッセージカードが交換されるようになった。差出人は、「あなたのバレンタインより」と署名することが多かった。