【2月12日 AFP】人気SF映画「スター・ウォーズ(Star Wars)」シリーズ初の実写テレビドラマ「マンダロリアン(The Mandalorian)」に出演していた米女優ジーナ・カラーノ(Gina Carano)が、ナチス・ドイツ(Nazi)のホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)などについてソーシャルメディア上で「嫌悪を催させる」投稿をした後、配役を外されたことが分かった。

 米映像制作会社ルーカスフィルム(Lucasfilm)は文書で、「ジーナ・カラーノは現在、ルーカスフィルムと雇用関係にはなく、今後も雇用関係を結ぶ予定はない」と説明。「彼女のソーシャルメディアへの投稿は、文化的・宗教的アイデンティティーに基づいて人々を中傷しており、嫌悪を催させるもので容認できない」としている。

 元総合格闘技選手のカラーノは、かねて政治的な見解を率直に表明し物議を醸してきた。インターネット上ではハッシュタグ「#FireGinaCarano」を使って制作会社にカラーノの解雇を求める運動が展開される一方、擁護するファンからは「キャンセル・カルチャー」だとの非難も出ていた。

「マンダロリアン」でカラーノが演じていたキャラクター「キャラ・デューン(Cara Dune)」は出番が多く、シーズン2終了時点で存命だった。先日発表されたばかりのスピンオフ作品にも登場するのではないかと取り沙汰されていた。

 最も問題視されているカラーノの投稿は、インスタグラム(Instagram)上で「ユダヤ人は路上で殴られていた。ナチスの兵士からだけではなく、近隣住民たちからも」との投稿を共有したものだ。このメッセージは、ホロコーストにおけるユダヤ人迫害と、現在の「政治的見解に基づくヘイト(嫌悪)」を比較する内容だった。

 カラーノはこれまでにも、「今の米国ではドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の支持者だという理由で暴行を受ける可能性の方が、人種を理由に暴行される可能性より高い」という投稿や、「うそも十分な頻度で繰り返せばジャーナリズムになる」との主張、マスク着用と大統領選の不正疑惑に関する誤った情報をソーシャルメディア上で共有していた。

 エンターテインメント情報サイト「Deadline」によると、カラーノは所属事務所UTAとの契約も終了したという。カラーノの代理人とUTAは、現時点でAFPの取材に応じていない。

 カラーノのファンの間ではすでにハッシュタグ「#WeLoveGinaCarano」を使った擁護運動が展開され、「ディズニーほどの大企業が、ディズニーの商品を買いもしないツイッター上の少数の愚か者の集団に膝を屈するとは、実に情けない」との投稿は広く共有されている。また、米共和党のテッド・クルーズ(Ted Cruz)上院議員も、カラーノへの支持を表明している。(c)AFP